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島の学校

ライター:風間辰広

私が住んでいる南種子町には小学校が9校もある

町中にある1校以外は複式学級が当たり前の小さな学校ばかりです。そんな小さな小学校の日常。息子が初めて小学校に上がった時には複式学級の光景に驚いたものです。前と後ろにある黒板を2学年の子供たちが分かれて授業をしています。その光景に大丈夫かな?と心配になったものです。先生は忙しくいったりきたりを繰り返しています。先生がいない方の学年の子供たちは自分たちで授業を進めています。授業の進め役の子供がいてしっかりとリーダーシップをとって授業している姿に大変驚かされました。インプットばかりの授業ではなく、アウトプットが必要な授業。聞いているだけの授業だけではなく子供たちが主体的にならなければ成り立たない授業。話を聞いてみると旗振り役の子供は日々変わるそうです。誰か決まった子どもだけがやるのではなく全員がやる。そうです全員が前に出なければいけない、子供たち全員が主役になる・なれる学校、それが島の学校です。

発表会、運動会、様々な行事に一人一人役割が与えられて何もしない子供がいない

東京で育った私の目には新鮮に映りました。都会の学校では人数が多いと主役になれない子供たちが普通にいました。出来る子がやったり、目立ちたい子が前に出たりして進んでいく都会の学校。島の学校は一人一人が主役。小さいときは声が小さかったり、もじもじしたり、恥ずかしがる子供も勿論います。それが数年たつと皆のまえでしっかりと大きな声で発表しています、少し誇らしげにきりっとした顔で元気一杯に発表している姿を見ると一人一人の成長を感じます。皆主役の島の小学校素敵ですよ。

子供の数が少ないから勉強も遊ぶ時も皆一緒、兄弟みたいに育っていきます

上の子が下の子の面倒を見る。そんな昔は当たり前の光景が残っています。呼び方も可愛いものです、○○ねーちゃん、○○にーちゃん。本当の兄弟みたく育っていく姿に私はいつもニコニコしながら見ています。学校が小さくても、子供の数が少なくても子供たちは元気いっぱい、楽しく毎日過ごしています。

学校への登校も皆一緒、登下校の道を順番に家まで迎えに行って皆で登校する姿は可愛いものです。うちは学校までの道のりが約3キロあります。今は中学生になった息子の時は、小さな身体に大きなランドセルを背負って出ていく1年生の姿に心配になったものです。6年間通い終わるころには大人の私が負けるぐらい足腰がしっかりしています。そんな長い登下校の道のり危なくない?大丈夫なの?とよく心配されます。大丈夫です、登下校の道は親の目が届かなくても地域の目が子供たちを見てくれています。転んで怪我したときは絆創膏を近くの家で張ってもらったり、トイレに行きたくなった時はお手洗いを貸してもらったり(笑)親の私が後で聞く話は、地域の方が守ってくれていることがよく分かるエピソードばかりです。いつも一緒にいる子供たちが離れて歩いていれば、今日は離れて歩いていたけど何かあったのか~?と近所のオジー・オバーは伝えてくれます。そんな日々を過ごしていると安心して小学校までの長い道のりを歩いていきなさいと子供に言えます。

地域・学校・親、三者の目で子供を見守る、昔は当たり前の光景だった姿が島の小さな小学校にはまだまだ残っています。そんな小さな島の小学校での子育てどうですか?なかなかいいものですよ。